• コーヒーの課題
  • サステナブル通信

オカピとまるもりのサステナブルコーヒー通信 生物多様性 編

コーヒーがつくられる環境と生物多様性について考える

私たちが日頃、消費しているほぼ全てのコーヒーは海外の生産国から輸入されています。日本では沖縄県など限られた場所でのみ生産が行われている為、コーヒー農園を目にすることは少ないですよね!ぜひ一度想像してみていただきたいのですが、コーヒーがつくられる環境にはコーヒー以外の植物や動物などの生き物がどれだけ存在するのでしょうか?

コーヒー生産において生き物、さらに細かく言うと生物多様性の豊かさが重要になってきます。そこで、第4回サステナブルコーヒー通信では、石光商事(株)サステナビリティ推進室・まるもりの専門分野である生物多様性とコーヒーについて深堀りしていきます!

生物多様性とは?

生物多様性とは、「地球上にはいろいろな生き物がいて、そのつながりによって、さまざまな環境(生態系)が成り立っていること」を指します。人間もその一部ですが、開発や大規模な農業によって、生き物の数や種類を減らし、その結果、生物多様性を低下させてきました。現在、世界の多くの動物で個体数の大幅な減少が報告され、「生物多様性を守ろう」という声が世界中で高まっています。ただ、コーヒー栽培と生物多様性の関係は、少しイメージしにくいかもしれません。生物多様性が豊かであることとコーヒー栽培には、どのような関係があるのでしょうか?

本ページでは、生物多様性の保全がコーヒー栽培の持続性にどう関わるのかを、具体例を交えながら解説します!

① コーヒー栽培と生物多様性の関係

コーヒー栽培は、土の中で栄養を作る微生物、受粉(花粉を運ぶこと)を手助けするハチなどの虫、害虫を食べるクモや鳥など、さまざまな生き物の働きに支えられています。一方で、栽培の過程で生き物のすみかや食べ物を減らし、その結果として、生き物の種類や数を減らしてしまう面もあります。もともと植物がたくさん生えていた場所が、大規模農園でよく見られるようなコーヒーだけの畑(単一栽培・モノカルチャー)になると、植物の種類と数が減ります。

例:シェードツリーが必要な環境でコーヒー以外の木を伐採する

影響①農園内の温度が上がり、虫を食べる鳥の種類が平均で25%以上減ると予測されている。

影響②コーヒー以外の木の花や蜜がなくなると、ハチなどの食べ物が足りなくなり、花粉を運ぶ生き物が減少する。(コーヒーの花が咲く時期は限られている為。)

影響③多くの植物があれば、それぞれに合ったいろいろな菌類(カビなど)が一緒に生きていけるが、コーヒーだけになるとその木に合わない菌類は生き残れず、菌の種類が大きく減少する。

※例①~③をもとにしたイメージ画像(AI生成)

このように、コーヒー栽培は生物多様性に助けられている一方で、生物多様性を減らす原因にもなりうることが分かります。今回、石光商事でブラジルの産地担当をしているシャンシャンから、ブラジルで見た現状についてコメントをもらいました!

 

*コーヒーの葉にいるビショ・ミネイロ

② 生物多様性保全とコーヒーの持続性

農地の単一栽培に対して、産地で今盛んに取り組まれているのが「アグロフォレストリー」です。アグロフォレストリーとは、「木(森のような要素)と農作物を同じ土地で一緒に育てる農業」のことです。もともとその土地にあった木を適切な本数で植え、木の種類を増やすことがすすめられており、立体的で複雑な環境をつくることで、いろいろな生き物が農地にすめるようになります。

 

木の種類が多いと、生き物のすみかも多くなり、すみかがいくつもあることで、気候変動などである場所の環境が悪くなっても、別の場所に移って生き続けることができます。結果として、コーヒー畑を含む農地全体の自然環境は、変化に強くなります。

*コロンビアのアグロフォレストリー

 

豊かな生物多様性が、未来の一杯につながる

地球規模で気候変動による気温上昇が課題となるなか、コーヒー業界では生産できる地域の減少が心配される「2050年問題」が大きく取り上げられています。生物多様性の保全は、私たちがこれからもコーヒーを飲み続けられるかどうかを左右する重要なカギだと言えます。生物多様性を守ることは、長期的な安定供給を守ることにもつながります。生産現場での取り組みが要になりますが、コーヒーを飲む・扱う私たち一人ひとりがこの価値を理解し、選び方や行動を通じて長く支えていく姿勢も求められていると考えられます。

次回のテーマ

コーヒー業界だけでなく、日常のニュースでも耳にしたことがあるであろう「2050年問題」について迫っていきます。聞いたことはあるけど、よく分からない…という方も多いのではないでしょうか!ぜひ次回もご覧ください!