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オカピとまるもりのサステナブルコーヒー通信 児童労働 編
コーヒー生産国の子どもたちに「えがお」で居てほしい
日本では表面的にはあまり見かけることのない児童労働。相対的貧困や家庭状況など背景はさまざまですがとても繊細な問題です。コーヒー生産国における児童労働も問題視されていますが、まだ実情が明らかになっていないことが多々あります。第3回サステナブルコーヒー通信では、ユーエスフーズもその一員である石光商事グループからお伝えできること・考えていることを中心にお話していきます!重たいテーマとなりますが、ここでは気楽に読んでいただけますと幸いです!
児童労働とは?
児童労働とは、子どもの教育機会や健全な成長を妨げる労働のことを指し、国連の「子どもの権利条約」やILO(国際労働機関)条約など国際条約で禁止されています。
児童労働定義:「義務教育を妨げる15歳未満の子どもの労働と、18歳未満の危険で有害な労働」(軽度な労働は13歳以上(国によっては12歳以上)であれば合法)ただし、教育機会を失うことなく、適正な対価が支払われる労働や子どもの成長の助けになるような労働は、児童労働には該当しないとされています。曖昧な文言なので、例を用いて説明します!
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例① 児童労働に該当しない
「学校に通っている13歳の子が宿題も勉強も終わった後に、危険が隣り合わせでない場所で休み休み、自発的に両親の収穫作業の手伝いをしている」※手伝いのために学校を休んでないか、強制でないか、週14時間以上働いていないか、健康、安全、道徳に危険または有害な作業をしていないか、などの確認・モニタリングが必要。
例② 児童労働に該当する
「親が季節労働者として農園に住み込み、14歳の子どもが学校に通えず農園で働く」
「有害な農薬を防護マスクなしに17歳の子が散布している」
※14歳までは義務教育を受けることが権利です。教育を受ける機会を奪うことは児童労働に該当します。
また、有害な農薬に防護なしでさらされる作業は、健康被害が懸念される危険有害労働であり、ILOで子どもに従事させることが禁止されているため、児童労働に該当します。
コーヒー産業の現状と実態

ユニセフとILOの報告書によると、児童労働が発生している場所として、カカオ工場・コーヒー農園などの農林水産業が7割を占めることが分かっています。更にコーヒー産業に絞って見てみると、どのような実情があるのでしょうか?米国労働省作成の児童労働のリスクがある品目リストにはコーヒーが含まれており、ブラジル・コロンビア・ベトナム・グアテマラなど、多くの生産国が対象とされています。今回、石光商事中米エリアの産地担当をしているパウに、現地の実態についてコメントを貰いました。

このように実態を知ると、「児童労働」が無くならない背景は複雑であり、すぐに解決ができないことが分かります。例えば、治安が悪く子どものみで留守番ができない、ピッカーの収入が低い、雇い主(農園)側が児童労働のリスクを認識していない、出稼ぎという労働形態のため子供が固定の学校に通うことができない、など理由はさまざまです。
子どもたちのえがおを守るために私たちにできること

◎石光商事グループとして
企業としての人権対応は、現在下記の流れで進めることが推奨されています。石光商事グループでは人権方針の策定が済んでおり、ウェブサイト上でも開示を行っています。現在人権DDパートに取り掛かっており、人権リスクの特定に向け、サプライヤーへの質問票の作成を行っています。

具体的な取り組みの事例として、ユーエスフーズでは2022-2023年にかけてブラジル・プレミアムショコラ幼稚園プロジェクト商品の販売を実施しました。「保護者が安心して働けるように、子どもたちを預けられる環境を提供したい」という想いの元、幼稚園のリノベーションが実施されました。取り組みによって、地域の子どもたちが安全な環境に身を置くことが可能となり、児童労働が発生するリスクの排除に寄与できていると考えられます。

本ページを作成するにあたって、「児童労働問題」という複雑で大きな課題にどう向き合っていくべきかについて、産地担当者含む関係者全員でミーティングを実施しました。全員が課題感を感じており、多くの疑問や意見が出る中、「一企業でできることは少ないしインパクトは小さいかもしれないが、一つでも無くすことができるのであれば、少しずつでも前向きに取り組んでいこう」という結論になりました。
サステナビリティは変化が激しく、先を見通すことが難しい分野で、人権も例外ではありません。だからこそ、ビジネスとして捉える以前に、一個人・一企業としてどう向き合うかを考えることが何より大切だと感じています。ユーエスフーズとしては、「コーヒー生豆を取り扱っているからこそできることがある 」という信念の下、今後もこの問題に向き合って参ります。
次回のテーマ
これまで3回に渡り「人」に関するテーマでお話してきましたが、次回以降は「環境・生物」に注目した内容をお伝えしていきます!まずは「生物多様性」についてです!日本でも年々夏の猛暑が厳しくなり、四季を感じられることが少なくなりました…地球規模で気候変動が起きている中で、生物へどのような影響があるのか、そしてコーヒーとのかかわりについてお話していきますので、次回もお楽しみに!