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オカピとまるもりのサステナブルコーヒー通信 生産者の多様性編

私たちの消費活動で生産者の「えがお」と「生きがい」に繋げたい

「コーヒーを通して生産者から消費者のえがおをつくる」ことをミッションに掲げ、これまで5つのえがおプロジェクトに取り組んできました。そのうち3つはダイバースコーヒーという生産者の多様性を尊重し、品質向上・持続可能なコーヒー生産を目的につくられた商品です。

そこで第2回サステナブルコーヒー通信ではコロンビアに注目し、生産者の多様性についてオカピ&まるもりと一緒に深堀りしていきましょう!

現状・課題

多様性とは、「異なる背景、視点、経験、特性を持つ人々や物事が共存する状態」です。ジェンダー、民族・先住コミュニティ、若者、障がいの有無など、さまざまな背景を持つ生産者たちが、誇りと技術をもって、素晴らしい味わいのコーヒーを生み出しています。今回は「障がいを持った生産者」に焦点を当て、現状や課題、そして彼らのコーヒー生産への想いについてお伝えできればと思います。

本ジャーナル記事の作成にあたり、統計情報の確認と現地へのヒアリングを通じて、障がいを持つコーヒー生産者の実態を探りました。その結果、彼らの存在は依然として十分に可視化されておらず、情報の不足が支援や政策形成の障壁となっていることが明らかになりました。コロンビアでは、全国のコーヒー生産者のうち約6.2%が障がいを持っているとされており、カウカ県やウィラ県ではその割合が約4.7%と報告されています。これは農業分野における障がい者の参加状況を示す貴重なデータですが、他の生産国ではコーヒー生産者に限定した情報が整備されておらず、現状の把握には依然として課題が残ります。また、産地からのヒアリングなどを通じて、様々な課題があることが分かっています。

  • 健康・リハビリサービスへのアクセス不足

  • 農園内での移動の困難さ

  • 収穫作業における身体的制約

  • 自治体インフラの不備による移動支援の欠如

  • 社会的孤立や自信喪失(事故後の心理的影響)

  • 障がい者支援制度や情報の周知不足

  • 家族・介護者への支援の欠如

  • 生産性や品質向上のための技術支援・能力開発の機会不足

  • 心理社会的サポートの不足(自己肯定感・地域参加への支援)

 

生産者のコーヒーへの想い

ハンディキャップを抱えながらもコーヒー生産を続ける生産者たち。そのモチベーションの源には、家族との絆や愛が深く根づいています。

【コロンビアダイバースプログラム参加者の声】

本プログラムに参加したベトゥリオさんは、事故によって障がいを負い、一時はコーヒー生産の継続を諦めかけました。しかし、兄弟の支えを受けながら、自身でもアクセス可能な土地で収穫作業を行うことで、生産者としての誇りと自信を取り戻すことができたと語っています。また、コーヒー生産者であり、障がいを持つ息子の介護者でもあるマリアさんは、息子が将来経済的に自立できるようにと、コーヒーの副産物である果肉を使ったお菓子やクッキー作りを教えたそうです。試行錯誤を重ねる中で、家族の絆はより深まっていったと語っています。

 

コロンビアダイバースプロジェクトの目的・進捗

ここで改めて、当社が昨年より取り組んでいるプロジェクトの説明をさせていただきます。

本プロジェクトは、障がいをもった生産者の方々がつくったコーヒーを買付ける際にプレミアムを支払い、その費用を持続可能なコーヒー生産・品質向上のための設備開発・機会創出にあてることを目的として始まりました。そのため、初回より直接的にコーヒー生産に結び付くセミナーを実施するつもりでいました。しかし、調査を進めていくと彼らの状況はまだその段階にないということが分かったため、サプライヤーと協議を重ね、まずは”当事者同士(障がいを持った生産者、介護者)のコミュニティを形成し、交流を図る”ことを目標としました。今後さらに継続的にコーヒーを購入しながら、ステップバイステップで彼らと一緒にコーヒー生産開発を進めていきます。

◎第1回目ワークショップ詳細

昨年8月にコーヒーを供給してもらったカウカの生産者グループにおいて、第1回ワークショップが行われました。参加者はダイバースコーヒーの生産者17名で、輸出業者・コロンビアの障がい者支援に関するNPO・地方自治体代表者などさまざまな機関との協同開催となりました。

⚫︎目的

  • 障がいのあるコーヒー生産者や介護者である家族が様々な経験談・課題を互いに共有し、専門機関の人間とともに、家庭や生産現場での役割について議論し理解を深める。
  • コミュニティの存在を知って、地域開発への貢献を促進し、外部へアクセスできるよう整備する。
  • 今ある社会福祉の制度や障がい者証明など、生産者に認知が進んでいない支援を啓蒙する。

特に、プログラム内の「生産者の経験談コーナー」は、参加者がみんな集中して耳を傾けており、自分と似たような境遇の人の話や、向上心をもってコーヒー作りを行っている人の話など、お互いの刺激になったようです。

 

自家焙煎店、そして消費者の皆さまと一緒に取り組みたいこと

数あるコーヒーの中からダイバースコーヒーを選んでいただくことによって、私たちの消費活動が生産者の「えがお」と「生きがい」に繋がります。

生産者を取り巻く環境改善への継続支援

本プロジェクトでは、透明性の高い定期的な報告を通じて、生産者のコーヒー生産環境がどのように向上しているかを、皆さま自身の目で確かめていただけます。プロジェクトの初期段階からご参画いただくことで、コーヒーの品質の変化はもちろん、生産者を取り巻く生活環境や働き方の変化を、リアルな手触りとして感じていただきたいと願います。

ストーリーのある一杯を届ける 

自家焙煎店で店頭やSNSを通じて生産者の背景やコーヒーづくりに込めた想いを発信することで、消費者にも生産国においてこういう現状・課題があることを周知していきます。物語のある商品は消費者との心の繋がりを生み、従来にない価値の訴求を可能にすることで、選択的にダイバースコーヒーを手に取ってもらう市場を目指します。ここまで少し堅い話をしてきましたが、私(まるもり)自身、石光商事のエリア担当者や現地サプライヤー(全員もれなく情熱的!)との対話、そしてワークショップの開催報告を通じて、生産者のコーヒー生産へのプライドと、家族への深い愛情をひしひしと感じています。社内でも、「立場や環境は違っても、何かの困難に立ち向かう姿勢に勇気をもらえる」といった声が上がっています。皆さまにも、ぜひこのコーヒーを飲みながら、大切な人と、何気ない会話を楽しんでいただけたら嬉しいです。

 

えがおプロジェクト第5弾「コロンビア Amor sin Palabras」

ここまでお話してきたコロンビアダイバースプロジェクトでつくられたコーヒーをユーエスフーズのえがおプロジェクトでコロンビア Amor sin Palabras(アモール シン パラブラス)Vol.2という商品名で販売しております。スペイン語で「言葉のいらない愛」を意味するこのコーヒーを通して、生産者と消費者がお互いに想いを寄せられることを願っています。

 

次回のテーマ

これまで後継者問題と多様性についてと「人」に関する話題を挙げてきました。「人」に関する課題は他にもあり、第3回では児童労働の問題に迫っていきます。次回もぜひご覧ください!