• 世界の生産国

日本人移住125周年!ペルーコーヒーの魅力(ロベルト・セミナリオ駐日ペルー大使)

マチュピチュ、インカ帝国など何かとエキゾチックなイメージのあるペルー共和国。日本とペルーの関係は長い歴史を持ち大変強固なものです。2023年は日本・ペルーの国交樹立150周年、また2024年はペルーに初めて日本人が移住をしてから125年という記念すべき年です。現在ではブラジルに次いで2番目に日系人の多い中南米の国として知られています。またワールドレストランTOP50の上位に複数のレストランがランクインしており、美食の国として近年世界で注目を浴びております!

ユーエスフーズでは、たうさんの麻袋デザインでもおなじみのJAS有機コーヒー、「アルパカ」が人気です。

日本のコーヒー業界においては数十年前からコーヒーの産地として知られており、ここ10年ほどは特にJASオーガニックやフェアトレードなどの認証コーヒーを多く産出している国のとして確固たる地位を築いています。偶然にもSCAJ2023にてペルー大使館の方々とご挨拶をさせていただき、「是非一緒にペルーコーヒーの振興を!!」との熱烈オファーをいただきました。まずはもっとペルーのコーヒーを知っていただくべく、地球の裏側であるペルー本国にも連携いただいたインタビューをお届けいたします。

ペルー大使館を代表して、ロベルト・セミナリオ在日ペルー大使に語っていただきました!

ペルー産コーヒーの輸出について

ペルー農業灌漑開発省 によると、ペルーから輸出されるコーヒーは99 % が生豆であり、その上位輸出国は以下の通りです。

1.    アメリカ                 283.7百万ドル
2.        ドイツ                             259.1百万ドル
3.        ベルギー               154.3百万ドル
4.        コロンビア                       78.2百万ドル
5.        スウェーデン                    60.1百万ドル

上位5か国の輸出を合算すると総輸出額の67.6 % に達します。
またアジアでペルー産コーヒーを最も多く購買しているのは韓国で35百万ドルです。日本はそれより少なく31百万ドルです。

ペルーコーヒーおよびカカオ商工会によると、輸出したコーヒーの割合は以下の比率です。

コモディティコーヒー: 73 %
認証コーヒー:     24 %
スペシャルティコーヒー:3 %

強調すべき事柄として、ペルーはエチオピアと並びオーガニックコーヒーの一大生産国です。FiBL & IFOAM(国際的な有機農業研究機関、組織) が発行した the World of Organic Agriculture STATISTICS & EMERGING TRENDS 2022によると、ペルーの47 % のコーヒー畑が有機栽培、または有機栽培への転換中の土地です(JAS有機以外も含みます)。ペルー産コーヒーは多様な認証を取得しております。レインフォレストアライアンス、バードフレンドリー、フェアトレードや日本のJAS有機など、その他にも取得している認証があります。

またペルーのスペシャルティコーヒーは、生産量が限られているにも関わらず、世界で高い評価を受けている歴史があります。以下はペルーのスペシャルティコーヒーが評価された例であり、そのほかにも多くの賞を世界で受賞しています。

  • 2010 SCAA “The Best Specialty Coffee in The World” – 生産者Wilson Sucaticona
  • 2018 Global Specialty Coffee Expo “Best Quality Coffee” – 生産者Vicentina Phocco Palero
  • 2019 Global Specialty Coffee Expo “Small Producers Symbol” – 生産者Valles de Incahuasi

ペルーコーヒーの楽しみ方

ペルーでのコーヒーは、従来の方法で楽しまれるのが一般的で、朝や休憩時間に温かいコーヒーを、アルファホールやピカロンといったペルーでよく食べられるお菓子と共に楽しみます。またエスニックコーヒーという観点では、ペルーにはピスカフェと呼ばれる興味深いカクテルがあります。これはペルーの国民酒と呼ばれるブドウの蒸留酒ピスコに温かいコーヒーを加えたものです。

カフェテリア(地元の人も、観光客も、カフェテリアでコーヒーを飲みます)

ピカロン(サツマイモとかぼちゃのドーナツ。植民地時代から食べられている伝統料理です。)

 

レシピ:ピカロン

《材料》(2人分)かぼちゃ(煮たもの)  1/4キロ

サツマイモまたは黄色いユカ(煮たもの)  1/4キロ

小麦粉 1/2キロ

トウモロコシ粉(黄色)  250g

ベーキング・パウダー 小さじ1

ピスコ 小さなコップ1杯

卵 1個

アニス 小さじ1

塩 ひとつまみ

冷水  少量

揚げ油   適量

黒蜜  お好みで

 

《作り方》

1.煮たかぼちゃとサツマイモを押しつぶす。

2.1に卵を割り入れてかき回し、塩、アニス、ベーキング・パウダーに少量のお湯を入れる

3.2に小麦粉とトウモロコシ粉、ピスコを入れ、少量の冷水を加えて手で混ぜ合わせる。

4.3の上にぬれた布巾をかぶせ3~4時間常温に置く。

5.ピカロンを形作る際に、指に少し水をつけドーナッツ型にまとめる。熱く熱した油に入れ、はしで動かしながら揚げる。両面に焼き色が付いたら油から出し、熱いうち皿に乗せて黒蜜ソースをかける。

 

レシピ:ピスカフェ

材料:   アメリカンコーヒー 165 ml

ピスコ(ペルー産ブドウの蒸留酒) 30 ml

黒砂糖  12 g

作り方: グラスに黒砂糖とピスコを入れて混ぜる。最後にコーヒーを注ぐ。

ペルーの料理や他のトピックスについての動画もこちらの公式youtubeで発信しています。

 

ペルーのコーヒー生産者が抱える課題

コーヒー生産者であるシンシア・カスタニエダさん(Tunkimayu Coffee)に現在の課題を尋ねました。

ペルーでのコーヒー生産者の主な課題は、コーヒーを低い価格で購入する仲介業者の存在です。市場価格で売られるコモディティコーヒーについては、仲介業者や農業組合が安い価格で生産者から買い上げ、コーヒーの生産コストをカバーできていない状況があり、コーヒー生産者は農場を売ったり放棄したりということが起こります。この状況を打破する可能性があるものとしてスペシャルティコーヒーのクオリティ向上が挙げられますが、現時点では技術支援が足りておらず、もっと必要な状況です。アジアのコーヒー市場は非常に高い品質を求めるため、生産者たちは様々な研修を通して努力していますので、是非良いものはその価値を認めていただき、双方にとっての良い関係を長く続けていくことができればと思います。

大使館の方々からのメッセージ

ペルーの人々にとって、コーヒーとはただの豆ではなく、ライフスタイルです。人が集まるのに、新しく近づくのに、また繋がりを広げるのに、一杯のコーヒーほど優れているものはなく、ペルーの人々はそのことを良く知っています。ペルーでは、毎年8月の第四金曜日を「コーヒーの日」として定め、その消費を促すほどに、大事な作物と認識しています。今日において、コーヒーはペルーの主要な輸出作物の一つに成長し、多くの人々の生活を支える糧となりました。ペルー国内では200万人以上の人々がコーヒー産業に携わり、また223千世帯がコーヒーの生産に関わっています。その多くが小規模農家であり、それぞれの気候や風土に合わせたコーヒーの生産を行い、バラエティ豊かな味を作り出しています。ペルーにとってコーヒーとは、文化的にも経済的にも大切な、世界に誇る自慢の作物の一つです。

私たちペルー大使館は、日本の消費者の皆様に、ぜひペルー産コーヒー、特にスペシャルティコーヒーの魅力を知ってもらいたいと考えております。アメリカやヨーロッパで高い評価を受け、市場に価値を認められているペルーのスペシャルティコーヒーですが、日本ではまだ認知が足りません。ぜひ、ペルーのコーヒーを知ってほしい、そのファンになってほしいと願っています。ペルーの生産者にとって、輸出先が日本へ広がることは、ただ収入の多角化につながるというだけではありません。ペルー自慢のコーヒーは、日本やアジアの厳しい市場で戦って、更にその価値を磨かれていくことでしょう。またコーヒーは、違法な農作物に代わる有用な代替作物であり、ペルー外務省は麻薬なき開発及び生活国家委員会(DEVIDA)とも協力してコーヒーの輸出促進の活動を行っています。

ペルー産コーヒーが「良い」と評価されている理由

最後に、ペルーのスペシャルティコーヒーが、コーヒー愛好者にとって「優れている」と評価されるキーポイントをご紹介いたします:

1. コーヒー産地の多様性: ペルーは高品質なコーヒーの栽培に理想的な、多様な微気候と地域を有しています。気候と地理条件により、独自の味わいを持つユニークなコーヒー豆の生産が可能です。

2. コーヒーの栽培品種: ペルーでは、ティピカ、ブルボン、カトゥラ、ゲイシャなど、さまざまなコーヒーの栽培品種が栽培され、バラエティ豊かな味を生み出しています。

3. 持続可能な農業: ペルーのコーヒー生産者の多くは、有機栽培やフェアトレードなどの持続可能な農業を実践しています。これらの取り組みは環境に優しいというだけでなく、コーヒーの品質向上にも寄与することができます。

4. 理想的な標高: ペルーのコーヒー農園の75% が海抜1,000 M以上の高地にあり、中でもスペシャルティコーヒーの多くは海抜1,300 M 以上で栽培されています。これにより、コーヒー豆により密度が出て、複雑な味が生まれます。

5.  注意深い処理: ペルーのスペシャルティコーヒーの生産者は、コーヒーの収穫、手による熟した豆の選別、注意深い洗浄、乾燥など、と処理に細心の注意を払っています。

6.  独特の味わい: ペルーのスペシャルティコーヒーはしばしば、花や柑橘類、果物のノート、そして時折ナッツやチョコレートの風味を持つと言われ、独自の味わいと香りで特徴付けられます。ペルー輸出観光促進委員会はプロのテスターたちと大規模かつ慎重なカッピングを行い、10の地域の異なる味わいをセンサリーマップとして公表しました。

7.  品質への傾向: 世界中でスペシャルティコーヒーの需要が増える中、ペルーの生産者も、高品質なコーヒーを提供するための栽培や精製処理の実践方法や技術を向上させています。

地理的な要因、コーヒーの品種、持続可能な実践、そして生産プロセスへの細心の注意の組み合わせにより、ペルーのスペシャルティコーヒーは幅広い独自の味わいを持ち、高品質なコーヒー体験を生み出すことから、世界中で「優れている」と評価されています。

ぜひ、ペルー産コーヒーをご賞味ください!